要素の内部表示種別

CSSの displayプロパティは、置換要素(replaced elements)を除いたボックス(箱)が生成するフォーマットコンテキストの種類を定義し、子孫ボックスの配置方法を示します。
置換要素は、内容(コンテンツ)が CSSフォーマットモデルの範囲外の要素です。

ブラウザの互換性が不十分ですが、CSSの Level 3 仕様書では displayプロパティに２つの値を指定する方法を提示していて、２つ目の値がこの内部表示種別を示すとしています。

CSSの displayプロパティの値が inline であり非置換の内容は、インラインボックスを生成します。
HTMLのカテゴリで書くと、メタデータコンテンツではないフレージングコンテンツであるruby要素以外の要素の displayプロパティの既定値が inlineであり、エンベデッドコンテンツが置換要素なので、それでない要素だとインラインボックスを生成します。 一部の要素で、属性の値によっては inline-block となる場合もあるので、個別に確認が必要ですが、概ねこうです。

インラインボックス (Inline boxes.)とは、内部表示種別がフローである、置き換えられていないインラインレベルボックスの事です。インラインボックスの内容(コンテンツ)は、インラインボックス自体と同じインラインフォーマットコンテキストに参加します。

注意点というかポイントというか、インラインコンテナという様な改まったコンテナを生成する訳ではなく、その内容は祖先と同じフォーマットコンテキストに参加するという事です。そこで、子孫のボックスまで、どのフォーマットコンテキストに参加するボックスであるかが関わってくるという訳です。詳細は、外部表示種別で扱いたいと思います。基本的な考えとしては、インラインボックスの内容には、インラインレベルボックスしか配置できず、要素の配置の規則もその様になっています。ブロックレベルのインラインコンテナという様なボックスはありません。インラインフォーマットはインラインレベルのボックスがある事でそれを含むコンテナが確立します。

CSSの displayプロパティの値が block, list-item, inline-block, table-cell は、ブロックコンテナボックスを生成します。
HTMLのカテゴリで書くと、フレージングコンテンツではないフローコンテンツであるtable要素以外の要素の displayプロパティの既定値が block であり、th要素, td要素は table-cell であり、li要素, summary要素は list-item であり、フレージングコンテンツである要素で属性が特定の値の時だけ inline-block であります。

ブロックコンテナボックスを大雑把に言うと、ブロックフォーマットコンテキストを確立するコンテナです。
特にブロックレベルのブロックコンテナであるボックスを、ブロックボックスと言います。

ブロックコンテナボックスは、インラインレベルボックスのみが含まれるか、ブロックレベルボックスのみが含まれます。この制約を確実にする為に、匿名ブロックボックスを生成する事があります。

インラインレベルのコンテンツのみを含むブロックコンテナボックスは、新しいインラインフォーマットコンテキストを確立します。次に、要素は、すべてのインラインコンテンツをラップするルートインラインボックスも生成します。

親フォーマットコンテキストがブロックフォーマットコンテキストでない場合、ブロックコンテナボックスは新しいインラインフォーマットコンテキストを確立します。それ以外の場合は、ブロックフォーマットコンテキスト自体に参加するときに、そのコンテンツの新しいブロックフォーマットコンテキストを確立するか、他のプロパティの制約によって決定されるように、参加するコンテキストを継続します。

CSSの displayプロパティの値で table, inline-table は、テーブルグリッドボックスを含むテーブルラッパーボックスを生成します。

テーブルラッパーボックスは、テーブルグリッドボックスの周囲に生成されたブロックコンテナボックスです。所有する各テーブルキャプションが占めるスペースを考慮します。
テーブルグリッドボックスは、キャプションを除く、テーブル内部ボックスを含むブロックレベルのボックスです。テーブルフォーマットコンテキストを確立します。
レイアウト固有の表示タイプのボックスは、それぞれの仕様で定義されているように、互換性のない親に配置されると、その周りに匿名のラッパーボックスを生成します。

CSSの displayプロパティの値で table-caption (caption element) は、レイアウト固有の内部ボックスであるテーブルキャプションボックスを生成します。
CSSの displayプロパティの値で table-row-group (tbody element), table-header-group (thead element), table-footer-group (tfoot element), table-column-group (colgroup element) は、レイアウト固有の内部ボックスであるテーブルトラックグループボックスを生成します。
CSSの displayプロパティの値で table-row (tr element), table-column (col element) は、レイアウト固有の内部ボックスであるテーブルトラックボックスを生成します。
CSSの displayプロパティの値で table-cell (th element, td element) は、レイアウト固有の内部ボックスであるブロックコンテナボックスを生成します。

CSSの displayプロパティの値が ruby は、ルビコンテナボックスを生成します。ruby要素の displayプロパティの既定値が ruby です。

CSSの displayプロパティの値が ruby-text は、ルビ注釈ボックスを生成します。rt要素の displayプロパティの既定値が ruby-text です。rp要素の displayプロパティの既定値は none です。

尚、ユーザーエージェントがこれらの要素に対応していなけけば、displayプロパティ自体の既定値の inline が採用されます。rp要素のレンダリングの提案は、ユーザーエージェントがこれらの要素に対応している場合と対応していない場合のレンダリングを想定して記述する為のものです。

CSSの displayプロパティの値が flex は、フレックスコンテナボックスを生成します。HTMLの要素の displayプロパティの既定値が flex である要素はありません。